とあるホームページ制作の裏側【2026年度版】

この物語は、ある建築コンサルタント会社の公式サイトリニューアルの舞台裏。
「採用を強くする」という一点に、全工程が収束していった。


【序章】リニューアルが“経営課題”になった日

社員300人規模の中堅企業。業界での評価も高い。
それでも採用は年々難しくなり、現場はじわじわと疲弊していた。

「募集を出しても、応募が集まらない」
「来てもミスマッチで定着しない」
「そもそも会社の魅力が伝わっていない」

この状況を変えるために、サイトは“名刺”ではなく“採用装置”へと役割を変える必要があった。


【プロジェクトの概要】条件はシンプル、難易度は高い

  • 目的:採用導線の強化(応募数増・ミスマッチ減)
  • 規模:全27ページ(採用・サービス・事例・会社情報・FAQなど)
  • 期間:約6ヶ月
  • 費用:300万円弱
  • 体制:WEBディレクター1名が全体統括

課題は明確だった。
ただし、採用サイトは「見栄え」だけでは勝てない。
伝えるべきものを整理し、迷わない導線を作り、応募までの心理障壁を削る必要がある。


【制作の要点】“採用情報”を主役にした設計

1)採用ページは「情報」ではなく「意思決定の材料」

採用ページの刷新で最初にやったのは、文章を増やすことではない。
応募者が知りたい順に、情報を並べ替えることだった。

  • 新卒・中途・インターンを入口で明確に分岐
  • 職種別に仕事内容・求める人物像・キャリアを整理
  • インタビューで「人」と「現場」を見せる
  • 数字(平均残業、育成、評価、資格支援)で安心材料を補強

“かっこいい採用ページ”ではなく、
“応募者が不安を消せる採用ページ”を目指した。


2)SEOとモバイル対応は「後付け禁止」

採用は検索から始まる。だから設計段階からSEOを入れた。
特に「採用×職種×地域」のキーワードを意識し、1ページ1テーマで構成を切った。

  • 採用関連キーワードを想定したページ設計(職種別・FAQ・キャリア)
  • タイトル/ディスクリプション/見出し構造を整理
  • モバイルで読みやすい文字量・余白・ボタンサイズに最適化

「スマホで見づらい採用ページ」は、それだけで離脱される。
モバイル対応は“デザイン”ではなく“機会損失の削減”だった。


3)ブランド刷新は「統一感」で決まる

信頼を作るのは、派手さではなく一貫性。
ロゴを起点に、色・写真・余白・トーンを統一し、企業の“らしさ”を整えた。

  • カラースキームとフォントルールを統一
  • 写真のトーンを揃え、現場感と清潔感を両立
  • 情報密度の高い業界だからこそ、余白で読みやすさを確保

【プロジェクト成功の鍵】ディレクター1名で回せた理由

1)全体を俯瞰して“決める順番”を守った

  • 最初に決めたのはデザインではなく、採用導線とページ役割
  • 次に、コンテンツの優先順位(必須→あれば強い→後で増やす)
  • 最後に、見た目を固めて迷いを消した

2)修正地獄を避けた「合意形成の型」

  • トップ+採用主要ページを先に固め、方向性を固定
  • 修正回数・確認者・締切を最初に決めて運用
  • “好みの話”になったら目的(採用)に戻す

体制が少ないほど、決め方が甘いと炎上する。
逆に、決め方さえ固ければ、一人でも完走できる。


【リニューアルの成果】数字が物語を締めくくった

  • 採用応募者数:前年同期比 +30%
  • サイト訪問者数+20%以上
  • 副次効果:企業認知・信頼感の向上、問い合わせ導線の改善

採用ページを整えたことで、応募数が増えただけではない。
“合う人が来る確率”が上がったことが、現場の手応えとして残った。


【課題と教訓】成功の裏にあった「伸びしろ」

1)効率化の余地:リソースはもっと使えた

ディレクター単独でも完遂はできた。
ただし、他部署・外部パートナーをもっと活用できれば、負担はさらに下げられた。

  • 取材・原稿・撮影を分業できれば制作スピードは上がる
  • 社内レビューの導線を整理すれば手戻りは減る

2)スケジュール管理:タイトな山場は必ず来る

制作期間は半年。十分に見えて、コンテンツ制作が始まると一気に圧縮される。
“余裕のある工程表”ではなく、“遅れる前提の工程表”が必要だった。


【物語の結末と展望】これは終わりではなく、運用の始まり

このリニューアルは採用を軸に成功した。
しかし、本当の価値はここから生まれる。

  • 応募者の行動データを見て、採用導線を改善する
  • インタビューや事例を追加し、“会社の厚み”を積み上げる
  • 採用だけでなく、信頼獲得・営業支援にも波及させる

サイトは完成した瞬間に「古くなる」。
だからこそ、更新と改善ができる設計が、成功の条件になる。